一気に凍りが溶けた。
初めて、涙が溢れ出した。

警官の腕が私に触れ、支えられて車の外に連れ出された。


助かったん?
私…もう…
助かったん?


そのまま暗闇に消えかけていたパトカーに乗せられた。

「ここでちょっと待っといてな」

車内に1人取り残される私の不安げな顔に気付いたのか

「この中は大丈夫やから!」

と言ってドアを閉め、どこかへ行った。



涙が止まらない…
なんの涙だろう…

タクト…
タクトが…頭の中でタクトの笑顔がグルグル回ってる。

こんなことになるなら…

なんで、なんでタクトを拒んだんだろう…


タクト…会いたい…
会いたいよぉ…
タクトに抱き締められたい…




警官達がパトカーに戻り、山を降り始めた。

アイツらは…?

気が付けば、右も左もパトカーと警官だらけだ。

アイツらが必死で走って逃げるのが見える。
アッという間に大勢の警官達に取り押さえられた。

1人の警官が私の乗ったパトカーを止めた。
パトカーは最初に男達が車を止めた場所へと移動した。

「ちょっとだけ!ごめんな!この人、関係ないですか?」

さっき隣りに止まっていた車に乗っていた人だ。