そして、とうとう退院の日。

オシッコも不思議なくらい出るようになった。

出なかったのが分からないくらいに。

でも、自然に出ることへの感謝を忘れずにいようと思った。

精算を済ませ、タクシーで久々の我が家へ辿り着いた。

この家を出る前と、今の私は違う。

いつだったか

『その病気はその人に必要だからなる』

という話を聞いたことがある。

私に限って言えば、その言葉は正解だ。

病気になって、ソウタを産んでから突っ走ってきた人生を初めてゆっくり振り返ることができた。

このことは、これからも生きていく私にとって、すごくすごく貴重な体験となった。