それでもわたしは生きている

少しずつ歩く事も慣れてきた。

シャワーも浴びれるようになったし、ご飯もバクバク食べれる。

後は尿さえ出れば退院かな?

毎日毎日、便座と仲良くしてるうちに、ようやく少ぉし出るようになった。

いつも量を測って、メモして、報告して、取ってもらう。


自分が元気になると、色んなものが見えてくるし、色んなことを考える。

例えば、当たり前のようにしてた排尿も、自分で出来ることに本当は感謝しなきゃいけないんだって。

自由に動く手や足、目が見える事、耳が聞こえる事、当たり前じゃなんだって、今まで気付かなかった。

自分の身体を自由に扱えるのは、すごいことなんだと思った。

なのに、人は、自由に動く口で暴言を吐いたり、自由に動く手や足で暴力を振るったりする。

そんなことに使っちゃいけない、他に使い道がある。

それは、病室からトイレまでの行き帰りに見える他の病室の様子等から、そう思うようになった。

この病院の病室は廊下から中が丸見えのガラス張りだ。

それぞれのベッドにカーテンが付いていて、着替える時などはカーテンでベッドの周りを囲って着替える。

だから色んな人達の様子がよくわかる。