それでもわたしは生きている


とうとうその日がやってきた。

手術着に着替えて病室のベッドに寝たまま運ばれていく。

何故歩いて手術室へ行ってはいけないのか分からない。


手術室の前にある待合室のような部屋に入ると、いくつもの患者を乗せたベッドが並んでいる。

それぞれのベッドに1人、看護師が付き添って笑顔で手術前の患者に話かけている。


皆病気なんや。
皆今から手術なんや。

私に付き添ってくれてる看護師が話しかけてきた。

「タチバナさん、緊張してないみたいですね?」

「あぁ、想像出来ないことやから緊張のしようがないっていうか…」

「そうですよね!大丈夫、すぐ終わりますよ!でね、この前コンパしたんですけどね、ちょっと聞いてくれます?」

「あ、コンパ…?あぁ、はい、どうぞ」

看護師は全っ然関係ない話を始めた。

そうしなくてはいけないのか、単純にこの看護師が何も考えていないだけなのか。

でも、コンパの話のお陰で待ち時間を楽しく過ごせたのは確かだ。


天井と、少しの側壁しか見えないまま手術室らしき所に辿り着いた。

私の周りで、何人もの人間がガチャガチャと作業をしている。