それでもわたしは生きている

私は、休憩中にヒロアキに会えることが楽しみで仕方がなくなっていった。


「オレん家のマンション、めっちゃ夜景キレイで!」

「うそぉ、いいなぁ!」

「見に来る?」

「うん!行く!」

「電話番号教えて、電話するわ!」



あ…ソウタ…


本気か冗談か分からない軽い誘いに、真剣にソウタどうしようって悩んでみた。

けど、悩むだけムダ!

電話なんか掛かって来ない。

なのに、私は毎日毎日電話が鳴るのを待ってる。



ソウタはいい子に育ってる。

転職してからは何の問題もない。

本当に、私の大切な宝物。

夏休み、ソウタは田舎へ帰った。
1ヶ月も自由の身だ。


「ウィッス!息子は?夏休みやろ?」

「あぁ、また田舎に帰ってる」

「お前は?帰らへんの?」

「はい、私は働いときます!」

「ふぅん…じゃ、そろそろ夜景見に来る?」

「え?」


2ヶ月も経ってるのに…
覚えとったんや。


「やめとくか?」

「あ、行く行く!」

「よっしゃ!ほなお前5時半までやろ?家帰っとけ、迎えに行くわ!」

「はぁい!」


私って単純!
こんなことで仕事が楽しくなる。