撮影が終わり過去を思い返すと、1つ気づいたことがあった。


「ねぇ、啓くん。」


「ん?」


「あたしたちって一緒にお仕事やるの初めてだよね?」


啓くんがこの世界に入った時、あたしはもうここにはいなかった。


「そうだな。

俺、鈴音と一緒に仕事してみたかったんだ。

…ありがとなっ!」


満面の笑みを浮かべる啓くん。


「ううん、あたしこそありがとね!」


いろんなことに気づいて、いろんなことを思って…


自分と向き合えた気がする。


「啓くんは…なんであたしのために、そんなに協力してくれたり作戦考えたりしてくれるの…?」


協力してくれることはうれしい。


でも、あたしばっかにかまってもらうのも悪いよ…。


「そ…それは…」



それは…?



「…秘密だ!秘密!!」


えぇ!?


「啓くん!秘密ってちょっとー!!」


「今は…だよ。

いつか鈴音が自分の本当の気持ちに気づいたら教えてるやるから。

な?…それでいいだろ??」


あたしはうなずいた。


自分の本当の気持ち??


よくわからないけど…うなずくしかない気がした。