「てめぇ、シカトしてんじゃねぇよ!」


「まさか忘れたとは言わせねーぞコノヤロー」


ザワザワとした校門に2人がたどり着いて聞こえてきたのは、
何だか不穏な空気漂う怒鳴り声だった。



「何だろう…喧嘩?」


ヒソヒソと耳打ちする由紀に、蕾は声を出さず、コクコクと頷いて返事をした。



「おい、聞いてんのかよ!」


ここの学校の制服を着た金髪の、あちこち傷を作った男が、
どうやら喧嘩の相手らしい男の胸ぐらを掴んだ。


「キャッ…」


周りの野次馬からは小さな悲鳴がもれる。




―――しかし。


「「………んっ?」」


蕾と由紀は、その胸ぐらを掴まれた男を知っていた。







「及川…しゅう…―?」