蕾が自動ドアから出ると、目の前にいたのはすらりと高い中性的な顔立ちの学ラン姿。
蕾はそのアンバランスな魅力を持つ少年に見覚えがあった。
首をかしげて少年を凝視していると、少年の方から待ちきれないように話しだした。
「俺のこと、覚えてる?
前に駅で学生証…」
「…ぁああっ!!あの時の少年!!」
「ぁ、うん、そう」
少年が喋りおわるのを待たずに、蕾はビシッと指をさして叫んだ。
「えぇっと確か…
えっと…確か…」
「あ、及川脩です」
「あ、そうそんな名前」
あっけらかんとした蕾の答えに及川脩は目を白黒とさせた。
彼が初めて蕾と話したときとは見た目も性格も大違いだから驚く気持ちは分からなくない。
「蕾ぃーっ?
何、知り合いの人?」
「ったくトロいんだよ。
こんな所で油売ってんなよ」
先を歩いていた3人が蕾がついてきていないことに気付き、引き返してきた。
「うるせー。今行く」
「…あ、引き止めてごめん。
でもその前にさ、あの…
アドレス。教えて?」


