シュンとうなだれて立ち去る少年を見送って、蕾が教室に戻ると、

「蕾ちゃん、また告白〜?
モテモテだねぇ」

ニヤニヤ顔をした由紀が話しかけてきた。


「お前待ってたせいで電車一本見送ったぞ」

「どうせ答えは決まってんのに、コクるなんて勇気あるやつだな」

クラスメイトの浦賀雅人と勝重亮がからかうような調子で話しかけてくる。

お調子者で見た目も中身も派手好きな雅人と、
雅人の幼なじみでいつも落ち着いた雰囲気の亮は蕾達と家が近いこともあり、
4人でよくつるんでいる。


「うるさい。
モテないからって僻むんじゃねーよ」

「んなっ‥ち違ぇーよ!!
てか俺モッテモテだし!!
羨ましくなんか‥」

「あ。由紀、亮、私ハンバーガー食べたい。
どこか寄ろうぜ」

「おいっ!!聞けよっ!!」

まだ喚いている雅人を無視してスタスタと歩いていく蕾と由紀。



ポンッ

「諦めな」

ポンポン、と雅人の肩を叩いてから亮も後に続く。






「‥‥コスプレヤロウ!!」

雅人は誰にも聞こえない位の小さな声で悪態をついてから
不貞腐れたように歩きだした。