PM7:20

天使、ようやく帰宅。

きつく編み上げた衣装を脱ぎ去り、
パステルカラーのメイクを完璧に落としたら、
ようやく“北大路蕾”が姿を現す。


「腹へった…。
麗ちゃんごはーん!!」

「はいはい。
もう出来てるよ」

麗ちゃん、と呼ばれたのは北大路家で家政婦として働いている
山下麗(26)。

両親の下でコーディネートスタッフとしても働いている。

忙しくて中々家に帰れない両親のかわりに、蕾をサポートしている、
いわば姉のような存在だ。


「今日は遅かったけど、また美術館?」

「それは画家ファッションの時ー。
んっ、ひょうはふぁとひょはんひっふぁ」

「食べてから喋れ!!」

口いっぱいにオムライスを頬張りながら喋るもんだから、
途中から何を言ってるのか分からない。

「んぐっ…
図書館行っ、ふぇふぁっ」


やっと飲み込んだと思ったら、また口いっぱいにオムライス。


よっぽどお腹が空いていたらしい。