振り返ってみると、
学ランを着た長身の男。

無造作にセットされた眺めのマロンブラウンの髪に、色白で中性的な整った顔。
スタイルがいいせいか、学ランの下にパーカーを着ても着ぶくれしていなく、ズボンも腰ばきしているのにだらしない印象を受けない。

「あの、北大路さん?ですよね」

男の子に声をかけられて、
しばらくの間、品定めするように彼を見ていたことに気付く。

「はい。なんでしょう?」

にっこりと笑うと、男の顔が微かに赤くなった気がした。

「これ‥さっき電車の中で落としましたよ」

そう言って差し出されたのは、
確かに蕾の学生証。

「すいません。勝手に中身見ました」

「かまいませんよ。拾っていただいてありがとうございます」

蕾が頭を軽く下げると、
いえ、
と小さく聞こえた。


「あの、俺、及川脩っていいます。

よかったらアドレス教えてください」