悪魔のいる教室

性格的に合わないって事はわかってる。


なのに。

悪魔に名前呼ばれただけで、すんごい嬉しくなる。

芯の通った低い声が届くたび、もっと呼んでほしいって思う。


なんなんだろ、これ。

こんな妙な気持ちがあるから、私は悪魔と徹底的に距離をとる事ができない。


心の中で、悪魔が話し掛けてくんのを待ってる自分がいる。


たとえ悪魔に何言われても、私は悪魔を嫌いにならない。

傷つきはするけど、絶対嫌いにはならない。

確信がある。


けど悪魔は違う。

私のたった一言で、私の事を嫌いになるかもしれない。


怖い。


殴られたり睨まれたりすんのより、“悪魔に嫌われる”のが何よりも怖い。


もう嫌われてるかもしんないけど……。


「これ」

「……え?」

「タツキに渡しとけ」


悪魔はなんとも違和感を感じさせない命令口調で、片手を差し出した。


『渡しとけ』って、これ──