悪魔のいる教室

今回も大いに読心術を発揮する五十嵐くんの、とても自分と同学年とは思えぬ落ち着いた笑顔。


それにふと何かが混ざった。


上手く説明出来ないけど、さっきまでの表情の成分が暖色系だとすれば、それに一滴の寒色が混ざったような……。


「人多いから、あっちの階段使おうか」

「あ、うん」


普段他人の顔色ばかり気にしているせいか、一度そうだと思い込むとそればかりが気になる。


どうしたんだろう。

悪魔に言われた事がショックだった、とか?


いろいろ考えている内に、校舎の闇階段に辿り着いた。

どうして“闇”かというと、いつも電気が付いてなくて薄暗いから生徒の間でそう呼ばれてる。

けども通常の階段より遠回りになるからか、ここを使う人はあまり見かけない。


薄暗い階段に、2人分の足音だけが響く。

さっきまでの人混み独特のムンムンした空気とは一変して、たぶんあっちより2度くらい気温が低いんじゃないだろうか、ここ。


「……前にさ」