悪魔のいる教室

「……もう帰んの?」

「いや、まだやる事がある」

「…………」

「早く行け、授業始まっぞ」


──行きたくない。

だって、教室には……。


そう思っても、口に出す事は出来ない。

理由を話すわけにもいかない。

かといって、進む事も出来ない。


いろんな気持ちがグルグルグルグル。

目線をフワフワ泳がせ混乱していた私は、


「……どうした?」


そんな悪魔の声を聞いてやっと、同じあやまちを繰り返そうとしてる自分に気づいた。


言葉に出さず、無意識に態度で示そうとしていた自分に。

悪魔の優しさに甘えようとしていた弱い自分に。


──こんなとこばっか見せてたら、悪魔に嫌われる──。


そう思った瞬間、私の頬にキュッと力が入った。

苦笑い、……になってる予定。


「宿題すんの、忘れてた」

「あ?」

「あれ、化学の宿題」

「……どうしようもねぇ」