悪魔のいる教室

睨んでたわけじゃない。

よく目を凝らせば、不安そうな、苦い表情だとわかる。

ポツリと零れ落ちたような声が、それを肯定していた。


……驚いた。

いつも堂々としてる超俺様な男が……。


慌てて「イヤじゃないよ」と答えれば、意外そうに目を見開き、「そうか」とほんの少し表情を緩め、また歩き始める。


誰もが恐れる大きな背中。

さっきまで人をボコボコに殴ってた男。


なのに『こいつ可愛いな』なんて思ってしまった私は、だいぶオツムが可哀想な事になってるんだろうか。



「こっからは1人で行け」


2年の階である3階にあがったすぐの場所で、悪魔は立ち止まった。


「え……行かないの?」

「あぁ」


すっかり教室まで来るもんだと思い込んでた私は、自分の足がズッシリと重くなるのを感じた。


──……そうだった。

私が教室を出てきたのは、封筒のためだけじゃなかったんだ。