……飽き性で怠け者の私が、千代ちゃんに認められるような頑張りをした事があっただろうか。


強いて言うなら、遅刻しないように早起きを頑張ってるくらい。

しかも遅刻しまくってたのは1年の頃で、2年になってからはまだ一度も遅刻してないし。

2年で同じクラスになった千代ちゃんは私が遅刻魔だった事は知らないはず……。


「……何を?」

「んー……数学とか、国語とか、英語とか、歴史とか……」

「あ、勉強?」

「うん、そう。それ」


千代ちゃんは少しだけ俯き、「最初からそう言えばよかった」と苦笑いを浮かべた。


まさか自分の遅刻伝説が広まってんじゃねぇかと疑心暗鬼になってた私は、ホッと安堵した。


「勉強かぁ。頑張ってるかな? 私」

「うん」

「でも、前から真面目だったでしょ?」

「あははっ、嘘だぁ」

「ちょっ、失礼な!」

「だって、寝てばっかだったよぉ?」


2つに結われた後ろ髪。

結われずに頬に垂れてる横髪が、サラサラと揺れる。


そんな可愛らしい千代ちゃんを見てると怒りもどこかへ消えてしまうから、不思議だ。

いや、図星を突かれてしまったせいでもあるんだろうけど。