「あぁ。しかも…いや、やっぱ何でもない……」


「しかも、って何なんですか―?」


あーもう!
こんなんだったら起きとくべきだったなぁ…


「それは明日のお楽しみだ!」

その先生は、大きな手で…私の頭に手をポンッと置いて、背を向けたかと思うと歩き始める。

「え…待っ……」


「早く帰るんだぞ!」


その先生は片手をあげたかと思うと、振り返ることもなく…
渡り廊下を歩き、角を曲がって…姿を消した。


残ったのは静寂。

風もやんでいる。


でも…春の甘い匂いが、ふんわりする………。



ドキドキが止まらない。