あたしはどうリアクションしていいかわからなくて、とりあえずオムライスを口に運ぶ







「俺フられてもグズグズせんし、ストーカーとか絶対せえへんし」

「はあ」





「迷惑絶対かけんから」

「何の話ですか」






もぐもぐしていたら高坂さんのハンバーグが運ばれてきた


湯気を立てるそれは本当においしそうで、思わず見惚れてしまった










「おいしそうですね」




「俺と付き合わん?」










言葉が重なって、思わず高坂さんを凝視してしまった











ものすごく気まずい空気が流れて、そのまま視線をオムライスに落とす






高坂さんは何も言わないから、あたしも何も言わずにオムライスを食べる







(なにが起きてるの)

(なんでこうなんの)







ドキドキしながら時々高坂さんを盗み見つつ食べ続ける



(かっこいいけど)

(やなひとじゃなさそうだけど、ていうか、ああ、わかんない)



どういった経緯で好かれているのかということやどの程度好かれているのかがわからなくて、困惑する





結局そのまま食べて、店を出る


ごちそうさまでしたと言ったら、高坂さんはイエイエと笑ってくれた







午後一番の雑踏の中会社に向かって歩く

来た時とは別の緊張感がまとわりついて、居心地が悪かった






「あんな、由香ちゃん」

「はい」






呼ばれて少なからず動揺して隣を見上げる

困ったように笑う顔があって、思わず首をすくめた





「晩飯も、一緒に食わん?」





言われて ばんめし と復唱してしまう