「ゆうじゃなくて、さえです。
優って書いてさえって読みます」

私は小さい頃から名前を
間違えられる事が多かったから
慣れたように言った。

「あら、さえさん?ごめんね。」

「いえ…小さい頃からよく
間違えられる事多いんで。」

私は軽く流した。
毎年、クラス編成の時とか
必ず間違えられるから
めんどくさかった。

「私は、優さんの担任の
坂口と言います。着いて来て。」

私は静かに首を縦に振り
長い髪を揺らして歩く
坂口とか言う人の後を追った。

「にしても…」

坂口が話し始めた。

「優さん、前の学校では、その
スカートと髪、良かったの?」

私が前いた学校は、校則なんて
無いようなものだった。
あるとしたら、1つだけ
問題を起こさないかな。

「う…はい。なかった…です。」

私は慣れない敬語を使い
坂口…まぁ、坂口先生の
質問に答えた。前の学校
なら、敬語も使わないし。

「そっか。この学校では
髪は染めてはいけません。
スカートも折らないでね。」

私は、遠回しに注意された。