もう私の家の前に来てしまった。


話をしながら来ると、あっという間に着いてしまう。


賢志の家は50メートルくらい先だから、毎回私の家の前で別れていた。


「明日は終業式だな。じゃあな!」


そう言って大きく手を振った。


「また明日。」


私は恥ずかしくて、小さく手を振った。


お互い手を振って“さよなら”を言うのは小さい頃からの習慣になっていた。