「ねぇ、どうすんの?」


「わかんないよ…」



ほんとに分かんない。

どうしたらいいんだろ。



「3年でしょ3年。3年も思い続けてきたんでしょ?そのさ、すれ違うだけのオージ様のこと」

「そんな言い方っ ん…、まぁそうだけど…」

「どうすんの。その王子様の事なんにも分かんないんでしょ?」







初めて彼と出会ったのはあたしが高1の春だった。

あたしは電車通学で、学校の最寄駅から徒歩で学校へ、という通学手段を取っていた。

まだ高校という雰囲気にも馴染めず、仲がいい友達がいるっていうわけでもなかったから、その時のあたしは少しナイーブな気持ちでいた。

そんな気持ちを心に抱えながら学校へ向かって歩いている途中だった。

キキーッとけたたましい自転車のブレーキ音がした


「大丈夫ですかっ!?」


いろんなことを考えて歩いていたあたしには周りが見えていなくて、左からやってきた自転車とぶつかりそうになったのだった。


「あっすいませんっ、ぼんやり歩いちゃってて、はい大丈夫です」


そう言ってあたしは自転車に乗る彼、つまり、3年間思い続ける事になる彼と出会った。