亀村山町の不思議な出来事

 保健室で湿布を貼っていた天と、貼られていた竜司は早めに登校してきた生徒の中を逆走して校門へと走る夜昼の嬉々とした姿を見つけて呆れた。

「登校早々下校か。来た意味無いな」

「そうだね。それよりよく走れるね夜昼君」

 最後の一枚を乱暴に貼り付けると、ゴミを片付けて窓に近寄る。
 もう夜昼の姿は見えない。

 くるりくるりと自分の周りを衛星の如く回るメカメを、鞄の中に押し込もうと苦戦している竜司は目が回りそうだった。

 昨日からだ、昨日から妙なことが起きている(気がする)。

 あまり話したことがない芝 茉利亜にメカメらしくないメカメを託されるし、メカメは動き出した途端に暴れるし、送られてきたレモンを離さないし、夜昼に朝早く会うし、絹を裂くような悲鳴が聞こえたし・・・・・・。
 一体何なんだ。

 きっと厄年か厄月か厄日なんだ。誕生日はまだきてないから15だぞ俺は。男の厄年って何時だっけ。

「竜司? 考え事」

 天の声で我に返った、急に上げた顔にメカメが丁度後頭部にぶつかった。
 俺が一方的に吹き飛ばされた。

「っぁあ」
 
 よろめいたがふんばってなんとかこけずに済んだ。
 ・・・・・・が、かなり痛い。

「大丈夫かい? 僕の仕事これ以上増やさないでよ。片付けたんだから」

「おい。お前一回コイツの頭突きをうけろ」

 素材が明らかに金属なので痛い。しかもそれだけではなさそうだ、何で宙に浮いている相手に地に足を付けている俺が負けるんだ。
 
「いやだね。痛いじゃないか」

 こいつはっ。