亀村山町の不思議な出来事

親切な編元 天からコンタクトレンズを受け取り、早速入れてみた夜昼 火輪は悲鳴を上げた。
 嬉々としてコンタクトを入れた途端に灼熱の痛みが眼球を襲った。
 
 性別の判断すらつかぬほどの悲鳴を上げているのに全く気付かぬほどに。それほど痛い。
 必死にコンタクトを外そうとするがそこはコンタクトレンズ。平常時にもとるのに少し時間がかかるのに、瞬きをするほどに痛みが走り、涙を流すほどにむせ返り、鼻に抜け苦しい中で簡単にコンタクトは取れてくれない。
 取れてほしくない時は簡単に取れてしまうのに、外したい時に限って取れてはくれない。
 いくらのたうちまわろうとも、コンタクトは取れない。
 しかも、取ろうとすると余計に痛みが増す、目だけが焼かれるような熱さがある。

PPPPi・・・・・・
 ポケットから電子音が流れ、振動がつたわる。

 その時だった、彼にとっての奇跡が起きたのは。

 たった一本の電話、その着信音に彼は救われた。

 設定してあるこの音楽を聴くと心蔵が高鳴る。その人だけの着信音だから。

 今までのた打ち回っていたのもなんのその、夜昼は痛みに耐え、コンタクトを外し、呼吸を整えて、携帯電話を取り出し通話ボタンを押した。

「もしもし」

『急いで本部の方に向かえ』

 麗しい声だった。聞くだけで全ての苦痛から開放され、天にも昇るようだ。

 それが例え相手がどれほど嫌がり、命令しているとしても。夜昼にとっては恥かしいだけなのだと脳内変換する。

 だから彼は元気良く姿勢をただし返事をする。
「はい! 太陽の使者・フレアマン只今参りますっ!」

 『――っ』

 既に切られているとも知らず。