「清水…それ、本気なのか…?」


え―…?

どういう事?

私は瞑っていた瞳をゆっくりと開いた。
先輩は驚いた顔で私を見ている。


私、バカだ……


今更言っても先輩は困るだけじゃん。
何やっているのだろう…?

7年間の片思いなんて無理に決まってたのに。
先輩のこと好きな人なんていっぱいいるのに…


「やっぱり迷惑ですよね、すいません」

瞳から大粒の涙の零れ始める。


「―…清水…お前何言ってんだ?」

先輩の低い声で少し沈黙が流れた。


もう、嫌だ……


「分かっていたんです。無理だって事。すいません、困っちゃう事言って。もう忘れてください。…さようなら!!」


それだけ言って私は猛ダッシュで夕実の家を飛び出した。


「し、清水!!!」


後ろから先輩の大きな声が聞こえた。
だけどその声は私の足を止めなかった。


とりあえず走った。

何もない暗闇みたいな夜に
傷ついた私は逃げたかった。



悲しくて、

もう光が遠くなって

自分を自分で傷つけて……

私、バカだ。

無理な恋をして

ただ傷を増していって…


春斗先輩……

無理言ってごめんなさい。


困らせてごめんなさい。

走っていく暗闇の中、
私はずっと自分を否定し続けた。


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