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聞きなれた綺麗な曲が流れている。
たしか映画のテーマソングだったっけかな。
私は重い体をぐっと起こした。
携帯の時間を見てみると、時間は6時。
あと1時間でVD会が始まっちゃう、
早く準備しないと。
私はいつもより少しお洒落をしてみた。
髪をちょっと巻いてアクセつけて、
甘い感じな香水を振り掛けた。
―…誰かに見られたいわけじゃないけど。
『すず~!早くしなさいよぉ~』
下からお母さんの声が聞こえてくる。
もちろん許可はとった。
最近は勉強を頑張ってるから。
恋は…うまくいかないけど。
時間は経つのは速くて、
短針は45分を指していた。
夕実の家はここから近いから余裕。
「いってきまーす!」
元気良く私は家を飛び出した。
先輩のことも頭から消えていた。
まるで消しゴムで消されるように…
でもそこからが
先輩と私の運命の始まりだった。


