嫌い、
ダイキライ、

来ないで、私を見ないで。

先輩の傍にいる資格なんかないから―…
私はいつの間にか泣いていた。


それを見た先輩は何故か笑っていた。


何でそんな綺麗な瞳で笑うの?
ずるい、ずるいよ。

そんな余裕、私にはないんだよ?


「何で来るんですか!?好きじゃないんでしょ?先輩はずるい、ずるいよ!!ダイッキライ!!」

そう叫んで私は再び走り始めた。

だけどその動かした腕は
先輩の力によって引き止められた。





―…何で……?

先輩は背後から私を抱きしめていた。
その力は強くて、私は動けなかった。


「笑ってごめん」

顔だけ後ろに向けると先輩の瞳からは涙が流れていた。そして先輩はゆっくりと私の髪を撫でた。


「清水、ごめん。俺ら小学校から一緒だったのにお前の気持ちに気づいてやれなかった。ごめんな」



何でそんなに悲しそうな顔をするの?
私の事、好きじゃないのに。


「先輩は優しいから私の気持ちを受け止めてくれるんですよね」

鼻がつまった変な声で私は聞いた。
震える小さな声……


だけど

「バッカじゃねぇの!」

春斗先輩はそう言って再び笑った。