東條は母一人娘一人の生活だった

三原との件があって
携帯でのやり取りは
東條としていた



直接会って話をするのは
今まで
一度もなかった

東條から
『会いたい』というメールは
何度か来たが

学校での俺は悪者で

俺自身も
精神的にちょっと参っていた

一人でいるのに
苦痛は感じない

でも
後ろ指を指されて
生活をするのは

正直きつかった


俺が東條のマンションに行くと

ドアの前で
暴れている男がいた

三原だ

学校にいるときとは
全然
形相が違った

三原は罵詈雑言を吐き
壊れんばかりに
ドアを蹴っていた

俺は三原の肩をたたいた


「おっと
これは、浮気男の朝霧
また詩織に暴行をするのか?」

「暴行をしたのは
お前のほうだろ

これ以上、東條を苦しめて
どうする?」

「苦しめる?
それは朝霧のほうだろ

お前が振ったから
詩織は俺と付き合うのを決心した
なのに
横から手を出してきやがって」

ガチャっと
鍵を回す音が聞こえた

東條が鍵を開けたのだろう

俺と三原が言い合うのが
聞こえたのだろう