廊下に出てきた三原と
俺は目が合った

「聞いたか?」

三原がバツの悪そうな顔をする

「何が?」

「ありがとう」

三原が俺の肩を叩いて
階段を下りて行った

俺は教室に入る

東條が涙目で
顔を上げた

「朝霧君」

俺だとわかった東條が
わっと泣き出した

声を出して
泣きながら
俺にしがみ付いてきた

「私…わたし、ずっと…」

しゃくり上げながら
東條が言葉を紡ぎだす

「言わなくていいよ
無理しなくていいから

あいつもサッカーで
神経がたってるんだろ?」

東條が涙を抜くと
目を閉じた

俺のキスを欲している

俺は
額にキスをすると
東條から離れた

「もっと…」

「三原が下駄箱で
待ってるんだろ」

俺は
自分の机にある鞄を持つと
教室を出て行った