俊光は納得してはくれなかった。


「俺は家族ともう一度やり直すと誓ったんだ。

今まで駄目な父親だったかもしれないが、

良い父親になろうと決めたんだよ!
それなのに、なんで別れなければならないんだ!」




「…他に、好きな人が出来たの」


俊光は驚いた様子だった。


「―え?」


「普通の会社員で、真面目で優しい人なの。
私にはその人の方が合っていたのよ」




「…でも、瑠美は?」


「瑠美も、その人の方が好きみたい」




「――そうか」





「俺は父親失格だったしな。
無理もないか」





「明日までには書くよ」





智江の嘘を彼は疑いもなく信じた。