夢かと思い頬を抓ってみた。

痛い。自分で言うのもなんだがすごく痛い。

「いたあっ、」

いきなり頭上(言うならばつむじのあたり)に鈍痛が走り、なにかと思い上を見ると、

「こ、っ、ち、こ、い、?」

ぱくんぱくんと餌を求める魚のように忙しなく口を動かす先輩がいた。

ぺたぺたと足音を鳴らしながら屋上に上るとさっき見た死体だった筈の人が綺麗な姿でそこにいた。

まるで何もなかったかのように。

でも、普通とは違ったところがあった。

体が、透けていた。