「さむいね、」

横からいきなり声が聞こえて私は驚きに体を仰け反らせた。

「なんだ、ゆうりか。びっくりしたあ」

私が言うと彼女、瀬田ゆうりはふわふわとした笑顔で笑った。

冬は、寒いからイヤだねって言ったらゆうりは、そんなことないよ。冬も暖かいよ、と言った。

「そんなの、彼氏がいるから言えるんだよー。今年もバレンタイン、あげるんでしょ?私なんか、あげる相手もいないんだよ?」

そう言えばゆうりは、ほんとはいるんでしょ、と笑う。