2/3友達

クラスの、少なくとも女子達の視線が私たちに注がれてるのがわかる。

目があったクラスメイトには曖昧な笑みを返した。

教室を出ると、肩をすくめたカツヤがうつむいて立っていた。

私の上履きに視線を落としながら、小さくつぶやく。

「すみません。」

私もすぐには言葉が出ず、だまっていた。

「何もカツヤが謝ることないでしょ。」

「でも・・・、俺があんなことしちゃったから。」

「っていうか、カツヤがこんなに影響力のある人だなんて、思ってもみなかったから、かなり驚いただけ。」

カツヤはようやく視線を上げた。

「ナツミさんも気分害したでしょ?俺も、こんなに噂が広まるなんて想像以上だったから。」

「そうだよね。いきなり芸能人のスクープとられたみたいな感じ。」

言いながら、周りの視線を見渡してぷっと笑った。

カツヤもそんな私を見て、少しだけ笑った。

「とりあえず、マドカのこともあるし、放課後時間ある?」

「あ・・・。」

一瞬、カツヤが表情を曇らせた。

「何か予定があるんなら、明日でも構わないけど。」

「すみません。今日は、ちょっと・・・。」

「そっか、じゃ、明日でもいい?」

「はい。」

カツヤは頭を下げた。

私って、周りから見たら、とっても偉そうな感じじゃない?

カツヤももう少し対等にふるまってくれりゃいいのにさ。

その時、一時限が始まるチャイムが鳴った。

「じゃ、また。」

カツヤは私に右手を挙げると、慌てて廊下を走って行った。

走る姿も様になるよねぇ。

ふぅ。

未だ、自分が彼女っていう自覚ゼロだよね。

カツヤと入れ違いに、先生がやってくるのを確認すると、私も席に慌てて戻った。