「仲良いっていっても、喧嘩ばっかしてたじゃない。」

「うん。そうなんだけど、二人がしゃべってる間には入る隙が全くないんだ。今でもそう。」

・・・。

「なんていうか、例え二人が口をきいてなくても、そこに二人がいるだけでここにいちゃまずいんじゃないかって思えてくる。」

「そんなことないよ。それはカツヤの気のせい。」

「そうかな。」

「じゃ、言わせてもらうけど、例の大学生の年上の彼女さん。カツヤと二人でいる時は、私もそこにいずらい空気が漂ってたよ。」

「え?」

急に例の彼女さんのことをふられて、カツヤは一瞬たじろいだ。

「はっきりとした理由はわかんないけど、二人には特別な何かがあるって感じたもの。それに、とてもお似合いだったし。」

本当に、カツヤと例の彼女さんはお似合いだったと思う。

私なんかよりずっとずっと。


カツヤはうつむいた。

短くため息をつく。

「妬けた?」

カツヤがうつむいたまま聞いてきた。

私は少し笑って答えた。

「少し。」

カツヤはその答えに、久しぶりに清々しい笑顔を見せた。

「ありがとうございます。」

おどけた調子で軽くぺこりと頭を下げた。

私もそんなカツヤに思わず吹き出した。

そして、顔を見合わせて二人で笑った。