そう言ってアキちゃんが俺の名前を確認する。

いつのまにか「雪ちゃん」と同じ道を辿ることになりそうだけど、別に俺はゆっきーほど似合わなくはないと思うから笑って頷いた。


「いいよ。ダイでもダイちゃんでも好きに呼んで」


ふと空を見上げるといつのまにか星が出始めていて、俺は慌てて退散した。

付き合いたてのカップルの邪魔をいつまでもするような野暮なことをしてはいけないと思ったからだ。
もう散々してしまったんだけど。





一人の部屋に帰って、俺は尚基に言われたことをもう一度考えてみる。

彼女、ねえ。

たしかに、大学に入ってから彼女ができたことは一度もない。


けれどそれを不満に感じたことも一度もない。
勉強も部活も楽しくて、正直それで手一杯だったから。

それに就職活動まで加わった今では、彼女なんていないほうがいいとまで思っている。



明日も部活だし、とりあえず飯食おう。


そう考えて立ち上がった頃には、もう俺の頭から彼女なんて文字はきれいに消え去っていた。