駅から出ると予想外の気温の低さで、思わずひとりなのに声を出してしまった。

おまけに雨まで降り出している。


ついてないけどとりあえず傘は持ってるし問題はない。
走れば体もあったまるだろうし。

どこまでもプラス思考な俺は躊躇うことなく再び進み始めた。



時間に余裕があったからか(いやたぶん走ったからだけど)、だいぶ早めに到着してしまった。


受付を済ませてホールに入ると、まだちらほらとしか人は来ていない。

席は選びたい放題で俺は舞台から近すぎず遠すぎずの通路側に腰を下ろした。


今日は全国規模のセミナーだから、趣味の人間観察もいつも以上に楽しいに違いない。

けれどまだ人が少なすぎるから、とりあえずSPIの本を読むことにした。


しかし持ち前の集中力であっという間に本に熱中していたみたいで、ふと気付いた時にはだいぶホールがざわついていた。



本を鞄にしまって、前列の人は背中しか見えないから自分より後ろの席に座っている人たちを眺めることにした。

別に何を見るわけでもないけど、なんとなく色んな人がいるんだなーって思いながら眺めるのが楽しかったりする。


ずっと後ろを向いてたら腰が痛くなってきたので一旦体を戻した。