繚乱狂宴

「センパイ酷いです……ボクの気持ちも知らないで……」

「男に言われても、何も罪悪感は感じないな」

まぁ、今でも幽が男だとは信じ難いが。

「うぅ……初めて会った時は、怖くて、堅そうで、気難しくて、近寄り難い雰囲気だったけど……実際話してみると、柔らかくて、温かくて……とても格好良かったのに……」

幽にとっては本当のことなのだろうが、どうも美化しているように聞こえてしまう。

「何でも出来て……思い遣りもあって……憧れの人です」

本当にこいつは羞恥心と言うモノが無いのだろうか。

そんな恥ずかしいことを本人の前で言わないで欲しい。

「それなのに……意地悪ばかりしてくるし……」

そこで悪人にしたか。

「お前は思い込み過ぎだ」

幽の頭に手を乗せる。

「現実は、そんなに甘くはないんだ」

「でも、現実のセンパイは優しいです。格好いいです。憧れです」

「だから……あーもー」

ため息が出る。だからその『現実』が違うのだ。

「ボクは、そんなセンパイが大好きなんです」

食後のお茶を盛大に吹き出した。