繚乱狂宴

吹っ飛ばされた犬は、眼玉が半分ほど飛び出し、頭がパックリ割れていた。

それでも、何度も何度も、力任せに鉄パイプを振り下ろす。

柔らかい肉の感触、そしてそれを引き裂く感触。

その音が、その感触が、悦楽となって感情を刺激する。

何かに取り憑かれたように、一心不乱に鉄パイプで滅多打ちにする。

蠕動が止まっても、感触が水のようになっても、

鉄パイプを振り下ろし続けた。

「やめてくださいっ!センパイっ!」

何十回か打ちのめした後、幽が静止させようと抱き付いてきた。

ようやく打擲の手を止める。

そして、我に帰った。

「っ……」

鼻を突く異臭。血が付着した鉄パイプ。泣き縋る幽。

現状は一瞬で把握した。

「センパイ……」

しがみ付いたまま、僕を見上げる幽。

その瞳は、恐怖に満ちていた。

「……すまない」