繚乱狂宴

「あら? お勉強中? 偉いわねー」

思考が、途切れた。

看護師さんが入ってきた。検診の時間だろうか。

できるだけ、平然を装い、幽を見る。

本当は、叫び出したいほど、苦しい。

「じゃ、そろそろ」

「はい、ありがとうございました。センパイ」

幽はトテトテと去っていく。

「あ、幽ちゃーん。点滴、そろそろ取り替えてねー」

ハーイ、と言う返事が扉の外から聞こえた。

「うーん。それにしても『センパイ』ねー。なかなか仲良くなってるじゃない」

看護師さんはこちらへと歩み寄り、機材を確認しながら話しかける。

「まさか。あいつが勝手に寄ってくるだけですよ」

「そーかなー? あたしが幽ちゃんの様子見に行ったとき、開口一番で晶君のこと話してくれたわよ?」

「それほど嬉しかったんでしょう。あいつにとって、初めての体験らしいですから」

「そうねー。幽ちゃんの病気は知らないけど、あの子は結構楽しそうだからね」

「病気知らないって……担当じゃないんですか? 僕と幽の」

看護師さんはムッとした顔になり、

「全てを知ってる訳じゃないわよ。私も粘ったんだけど、教えて貰えなかったの。晶君の病気も、幽ちゃんの病気も」