繚乱狂宴

「でも……教科書見てるだけじゃあまりピンと来ませんし……晶さんが教えてくれると、スラスラ頭に入るんです。なにか優しいセンパイが出来たみたいです」

「センパイ、ねぇ……」

部活もせず、下級生どころか同級生にもあまり関わらなかった僕にとって、不思議な響きだった。

「晶センパイ、なんてどうです?」

響きは悪くなかった。

「最初に言っただろう? 呼び方は好きにしろ、と」

「じゃあこれからは晶センパイ、で行きます♪ 晶センパーイ♪」

ニコニコ笑う幽に、調子に乗るな、とデコピンを一発撃ち込んでおく。

でも、内心嬉しかった。

お互いにとって、初めての上下関係というかなんというか。

初めての後輩。初めての先輩。

不思議な関係だった。