「琴音…?」



「は~い、どーぞ…」



隼人くんの
彼女兼玉子焼き処理係りになったその日夜



自分の部屋で雑誌を読んでいると
外からお兄ちゃんの声がして
返事をすると部屋に入ってきた



「琴音ー、あのさ…」



「なに?お兄ちゃん」



「だーかーらー!
いつも言ってんじゃん!
お兄ちゃんじゃなくて?」



「はぁ…、
なに?奏(そう)くん…」



なぜかお兄ちゃんは
いつも私に『お兄ちゃん』ではなく
名前で『奏くん』と呼ばせる



あ、私達の名前は両親がつけてくれて
両親の二人は音楽が大好きだったから



それぞれに“奏でる”と“音”という字が
入っているのだ…





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