私は思わず振り返った。

窓枠に縁取られる風景の向こうに、ちょうどあの咲かない桜の木があった。

「何故、桜が咲かなくなったか、知ってますか?」

佐藤が私に向かって、ちょっと首をかしげて見せる。

知っているも何も……。


佐藤は、私の答えを聞く前に、また、真剣な口調で話し始めた。