追い詰められると、こういう訳のわからない虚言をするのか。今度の申し送りには付けておこう。

私が呆れていると、

「ほら、信じてないー」

また、彼女が私に詰め寄ってきた。

「だから、近いよ、君ぃ」

「ホントなのに」

「しかしね……」

信じろと言う方が無理があるだろう。


すると、佐藤は私の背後を指差した。

「例えば、先生の後ろの、その桜の木」