その期待は、時計の秒針が180度向きを変えても消える事が無かったので、私は観念し、溜息をついた。

ひとつ、高校の時の引き出しを開けてみる。

「少なくとも私は、桜の樹の下で告白された憶えはないし、こっぴどく振った憶えも無い」

それは、私にとって気になる事柄についてだった。生徒に延々とあんな口伝が広がるのは耐え難い。