気がつくと、2人で目指していた売店の前に私は来ていた。

そこには、お見舞いのための花や食べ物や雑誌など色々なものがあり、静かな病院の中では一番にぎやかな場所だ。

本当は、あの日、ユウタとここに来るはずだった。

けっきょく、それは叶わなかったけど。

彼は、買い物だってしたことがなかっただろう。

きっとあのキョトンとした顔で私に

「芽衣、これってなに?」

ってことあるごとに聞いてくるはずだ。

だから、私は少し呆れながらユウタが興味深々で指さすもの全ての説明をするんだ。

そんな私たちを周りの人は微笑ましそうに見守っている。

私はそんな都合のいい空想を思い浮かべた。