意識を失った芽衣の容態を、ドクターとナースの人が手早く調べていく。

それから、少し難しい顔をして深い溜息をついた。


「緊急オペだ。幸い、臓器はそこにあるしな」


僕は芽衣の手を握ったままドクターに尋ねた。


「芽衣、助かりますよね?」


僕のことを本当の人間として扱ってくれた、たった一人の人間。

その人の命の行く末――
それだけが心配だった。

自分の命のことなんて考えたことも無かったから、命が大切だなんて一度も思ったことはない。

でも、芽衣の命は大切な気がする。