「……ありがとう、芽衣。そんなこと言ってもらうのは、はじめてだけどうれしいよ。だから――」 彼の言葉を最後まで聞く前に、私は自分の心臓が暴れ始める合図を待っていたことに、無理矢理気付かされた。 ひどい激痛が身体中を駆け巡る。 「……ユ、ウタ?」 私は信じられない思いのまま廊下に倒れこむ。 心臓を暴れさせる合図を送ったのが他ならぬユウタの手の平だったからだ。 彼が私の心臓の痛みのスイッチに狙いを定めて思いっきり押した瞬間、合図を待っていた私の心臓が勢いよく暴れ始めた。