薄暗かった廊下が、だんだんと明るくなっていく。
窓からも緑が見え出す。

ここで苦しんでいる患者とは裏腹に鮮やかに生き生きとした木々たち。

それを横目にだんだんと無口になっていくユウタに不安を抱きながら、私はなにか話そうと試みる。


「で、でもさ“バンク”がなかったら、私も危なかったんだよね」

「え?」
「だって、移植できなくなるでしょ」