人を殴る音に怖がって気がついたら体が震えていた。 隣で奈美が 「ユズ大丈夫?」 って何回も聞いてくれた。 けれどあたしは黙って頷くことしかできなかった。 うめき声が聞こえるたびに奏太さんのじゃなくてよかったと思った。 「てめぇら誰の女に手ぇ出してんだ」 しばらくすると奏太さんのそう言った低い声と共に殴る音は消えた。 自分のことよりあたしのことで怒ってくれたんだって思うと嬉しくなった。 そして…あたしは静かに目を開けた。