パープルシャドー

勘弁してよ」
いっつもこんな調子やからやろか、
一、二回の指名はあるんよ。だけど、三回目はあらへん。同伴出勤も一、二回だけやねんなぁー。その後が続かへん。リピーターが少ないのがエリカに勝てない原因やねん。新たな客を見つけるのに一苦労するわ、ほんまに。今度、エリカをじっくり観察してやろう思ってんねん。見習らったろ思うねんなぁー。
エリカが店の休憩室でシャワー浴びてる時やったわぁ、
「エリカ、一緒にシャワー浴びてもええやろ、シャワー室広いし、それにシャワー二個あるし。汗だくやから、入るでぇ」
「良いけど、汗かくなんかめずらしいね、寒がり真理子が。ランニングでもしたん?」
「そうそう、ランニングしてきたんよ。あんたに負けんように痩せよう思てな、店の端から端まで走ってん。ダイエットしよ思てな。指名ないさかい、暇で暇で。お菓子ばっかり食べよったら太ってん、最近」
「あいからず真理子は、面白いね。笑わしてくれるよね、悩みなんかスッと飛んで行っちゃいそう、真理子の話し聞いてると」
「あんたになんか悩みないやろ、嫌味やわぁー、この売れっ子嬢が。お姫様、お背中でも流しましょうか?」
「良いよ、良いよ。真理子。お姫様でもないし