ミチルがそっとマキヲ見ると視線に気付いたらしく優しい微笑みが返ってきた。驚き咄嗟に反らしてしまう。

男の笑顔には慣れてるはずなのに・・らしくないな、と少し戸惑っている自分に焦る。


そんな様子を横目で伏せがちに見ていたユウリは、両腕をエリカとエミの首にまわし窓際まで引きずった。


「おい、なんだ?これ」

「あたしゃ薦めてないからね!」

「エミはあれ、有りだと思う・・・」


するといつの間にかミチルとマキヲ以外が皆3人の後ろを囲んでいて、あーでもないこーでもないと恋愛談義を交していた。

さっきまで教室内にあった緊張感はもうない。そこには恋愛に色めき立つ女子中学生しかいなかった。


呆れ半分のナガシマは早々に事を進めようと話し掛ける。


【おイ・・・】




誰もナガシマの声は耳に入らない。




【おい、お・・・・聞ケェェェェェ!!!】


一瞬で室内の喧騒が消える。


【とっ・・とにかく話を進めるゾ!】

「ちぇー」

ナガシマは前足を叩き集合を掛ける。せっかく盛り上がっていた恋話をナガシマなんかに遮られ、少女達は詰まらなそうに集まってきた。